《纏わりつく光》
2022/10
自作レンズによって撮影した写真|モノクロインクジェットプリント(297×210mm)
 森の中で植物の葉が反射した光が私に届き、鬱蒼とした森の中で植物が光を纏ったように見える瞬間に、私は植物を見ている実感を得られるような気がした。植物に光が纏わりついているような感覚をイメージとして他者と共有したいと思い、私は写真で「光が纏わりつく」という印象の再現を試みた。
 そこで、光を自分で捉える意識を持つために、レンズを組み合わせて撮影用レンズを作った。「収差」というレンズの特性を調節することで、光が纏わりつく感覚を写真表現に試みたのだった。レンズを何通りもの組み合わせで試し、最終的には、凸凸凹凹凸のレンズ5枚で構成された、自分にとって最良の組み合わせを見付けた。

 今回の《纏わりつく光》では、自分と植物という2者間での関係性を光を媒介として繋ぎ合わせ、私自身が植物に対して抱いた感覚を画像として記録しようとした。つまりそれは、私が対象を見たことを自作レンズ・カメラを用いることで外部化し得るかということに対しての考察でもある。
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