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【直接のふれあい|光を介する新たな交感】
よく登る山に入って木を伐り、その樹皮から私と等 身大の大きさの紙を漉いて作る。そしてその紙に感光剤を塗り、太陽の下で紙の上に裸体を横たえ、光を浴 びる。結果、体の影が紙に焼き付けられた。
かつては植物だったものの上で、植物が私に伐られ なければ浴びていたであろう太陽の光を浴びた。そこ には、光を介した写真によって他者と触れ合う姿はな い。かすかに残る樹皮の香りを感じながら、よりダイ レクトに他者と触れ合い、想像を膨らませた。
【ネガとポジ】
他者と直接触れ合うことは、1度きりの「今、 このとき」だけの瞬間であり、その、「今、この とき」を積み重ねて更新し続けることが作品制作 なのではないかと感じる。 元は植物だった紙の上で、植物にとってのエネ ルギーの源である太陽光を浴びた。身体と紙に残 された影は、私と紙が共に光を浴びた「今、こ のとき」が確かにあったことを証明するように、 ネガとポジのように存在するのだ。
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《わたしとあなた、ひかりでとけあう》制作風景 2023.12.28